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QIセンター

QI(Quality Improvement)センターのご紹介

QIセンター長 副院長 大竹 剛靖
湘南鎌倉総合病院はその理念として「生命を安心して預けられる病院」、「健康と生活を守る病院」を掲げています。これらの理念を実行し、そして「やさしい病院」であることを目指して組織的・継続的に品質改善を推進する目的で、2014年にQIセンターを設立しました。

QIセンター長 副院長 大竹 剛靖
(QIセンター長
副院長 大竹剛靖)

QIセンターのQIは、品質改善(Quality Improvement)に由来します。QIにはもう一つ、定量指標(Quantitative Indicator)の意味も込めたいと思います。品質改善(QI)は現状の把握と改善ポイントの洗い出し(分析)から始まり対策の立案・実行へと続きます。さらに対策実行の効果を検証し、良い結果が得られていればその対策を標準化することで一つの品質改善(QI)のサイクルが完結します。このようにPDCAを進める際には、分析と効果検証に定量指標を用いることが重要です。更に、分析・検証のプロセスに統計解析など科学的なアプローチを加えることで品質改善はより効果的、継続的に進められると考えています。

QIセンターは病院戦略に沿った品質改善を主導する役割を担っています。現在は5から6つの病院全体指標を設定しプロジェクト方式で品質改善を推進するほか、各部署が戦略的に設定した100を超える部署指標の改善をサポートします。この品質改善活動は組織の上層部、すなわち理事会や役員が参画・指導するという病院のガバナンス体制によって監督・指導されています。

2024年度 病院全体の改善目標と病院全体指標

湘南鎌倉総合病院では、患者目線・地域社会・臨床・職員・経営という5つの視点を大切にしながら、病院全体の改善目標と病院全体指標を設定しています。病院が直面する課題は、絶え間ない社会構造の変化や医療の進歩、地域社会や患者さんの医療ニーズの変化に応じて常に変化するものです。そのため、病院全体指標は少なくとも年度毎に再検討・再設定されます。

2024年度は次の6つをWide Indicator(病院全体指標)に設定し、改善活動に取り組んでいます。それぞれの指標に関係する多職種から代表者が参画し、プロジェクト方式(当院ではQIプロモーターと呼びます)で改善を推進しています。

2024年度 6つのWide Indicators(病院全体指標)

6つのWide Indicatorの概要

①長期在院患者数の低減化

当院は地域の急性期医療を担う病院であり、急性期治療が必要な患者さんへ速やかな入院治療を提供する必要があります。そのためには効率的な病床運営が必要であり、長期入院となっている患者さんの早期退院や転院を目指します。

②救急外来受診後72時間以内の予定外入院率低減化

当院の救急外来を受診される患者さんに的確な診断と適切な治療を提供し、帰宅後早期に再受診に至り入院になることがないように、救急診療の質の改善を図ります。

③看護師の離職率低減化

病院によって看護師はとても重要な人的資源であり、良質な医療を提供するために大きな役割を担っています。看護師の早期離職を防止し、職員満足度を向上させ、質の高い看護を提供することを目指します。

④身体抑制率の低減化(身体拘束の最小化)

身体拘束は基本的人権を侵害する行為であり、身体的・精神的・社会的に様々な弊害をもたらすとされています。しかし治療上の必要性や安全確保のため、やむを得ず身体拘束が実施されているのが現状です。患者さんの安全を担保しながら、患者さんの尊厳と人権が損なわれることがないよう、身体拘束の最小化に取り組みます。

⑤手術待機日数の低減化

当院では年間10,000件を超える手術が行われています。手術が実施されるまでに長期の待機期間が発生すれば、患者さんに不安を与え、病状悪化などの不利益に繋がる可能性があります。手術待機期間の現状を把握し、改善を図ります。

⑥モニターアラームの低減化

入院患者さんに装着されている生体情報モニターは、患者さんの呼吸循環動態を把握するための重要な医療機器です。本来、異常を知らせるためのモニターアラームは、感知不良や電極外れなどの際もテクニカルアラームとして頻繁に鳴るため、その対応に労力を要します。不要なアラームを減らし、患者さんの異常の見逃しを防ぐことを目指します。

 

2023 年度病院全体指標の取り組みについて

当院では2014年度より、病院全体で取り組む改善指標を年度ごとに5 ~ 6つ掲げ、職員一丸となって品質改善に取り組んでいます。
各指標は病院にとって優先して改善すべき課題であり、その改善には多くの知恵と労力が必要となりますが、医師を始め多職種で構成されたプロモーター(ワーキンググループ)が部署の垣根を越えて協力し改善に取り組んでいます。
2023年度に取り組んだ6つの指標について報告致します。

①【長期在院患者数の低減化】

当院は急性期総合病院として、適切な入院治療を遅滞なく提供する役割を担っており、そのためには病院が所有する限られた病床を効率的に運営する必要があります。
その上で問題となるのが、入院期間が長期間となっている患者さんです。
急性期治療を終えた患者さんには速やかに退院もしくは転院していただく必要がありますが、入院期間が長期間となる要因はさまざまです。
本指標ではその要因を分析し、対策を講じることで長期在院患者数の低減を目指しました。

〈定 義〉
分 子:在院日数30日を超える入院患者数
分 母:延べ入院患者数
除 外:なし
目標値:10%以下


〈分析・評価〉
 2023年度の平均値は13.9%となり、目標値を達成することはできませんでした。
傾向として夏季や冬季の割合が比較的高く、お盆や年末年始など連休の影響が考えられました。
診療科別に分析すると、形成外科や脳神経外科、リウマチ膠原病内科、腎臓内科、脳神経内科の割合が高いことが分かりました。
これらの診療科が取り扱う疾患は治療が長期化することが多く、今後は脳神経領域に特化したユニット(SCU)の開設や、長期化した患者さんを受け入れていただける後方支援病院との連携強化を目指すこととしています。
さらには病棟単位でのミーティングの実施、予定入院の適正化、退院支援チームの早期介入にも取り組んでいきます。

②【救急外来受診後72時間以内の予定外入院率の低減化】

当院は“救急を断らない” を理念に掲げ実践し、救急診療においては受診方法によらず全例診療応需をしています。
救急外来では的確な診断・治療に努めていますが、帰宅後に再受診または入院に至る患者さんが一定数発生しており、その現状は把握できていませんでした。
本指標では救急外来受診後72時間以内の再受診・予定外入院における転帰や再受診理由を可視化し、救急診療の質の改善を図ることを目的としました。

〈定 義〉
分 子:救急外来受診後72時間以内入院患者数
分 母:救急外来受診患者数
除 外:予定入院患者
目標値:1%以下


〈分析・評価〉
まず米国の同様の研究事例1を参考に、再受診率、入院転院率(当院へ入院もしくは入院適応にて他院へ転院搬送となった症例)、HRR 率(High-Risk-Revisits:ICU入室や緊急手術、心肺蘇生を要したハイリスク予定外再受診)を測定し比較することとしました。
その結果、当院は全ての割合が上回る結果となりました(ただし当院は全年齢を対象としているのに対し、米国は18歳以上を対象としている)。
さらに救急受診患者さんが入院適応と判断されたにも関わらず、病床が満床状況の際には救急外来で入院待機する場合があり、その入院待機患者が発生している日の入院転院率とHRR率が高い傾向にあることが分かりました。
今後は可能な限り入院待機を減らすべく病床コントロールを行うことや、安全な入院待機環境の整備、入院転院とHRR症例の詳細な検証を行っていきます。

1)High-risk Return Visits to United States
Emergency Departments, 2010–2018
Western Journal of Emergency Medicine  Volume
23, no. 6: November 2022

③【看護師の離職率低減化】

看護師は患者さんの療養上の世話をしたり、医師の指示の下で診療の補助を行うだけでなく、さまざまな領域で活躍し良質な医療を提供するために大きな役割を担っています。
さらに当院においては全職員の約半数が看護職員であり、非常に重要な人的資源となっています。
しかし当院における看護師の離職率は、日本看護協会が公表している数値より高い傾向にあります。
本指標では看護師の早期離職を抑制し、充足を図ることで、診療とケアの質の向上に繋げることを目的としました。

〈定 義〉
分 子:分母のうち2024年3月末までに退職した看
護師
分 母:2023年4月に入職した看護師
除 外:2023年5月以降入職者
目標値:新卒採用者10.3%以下 既卒採用者16.8%以下(2021年度日本看護協会公表値)



〈分析・評価〉
2023年度の離職率は新卒既卒ともに前年度より低下しましたが、日本看護協会の公表値を下回ることはできませんでした。
年度末に家庭の事情などやむを得ない理由の退職者が続いたため、このような結果になりました。
改善への取り組みとして、前年度退職者の退職理由アンケートの分析を行い、サポート体制に不満を感じていた意見が多かったことから、副看護部長を中心として新人看護職員の支援体制の見直しを行い、
職務上の悩みなどを相談しやすい環境づくりを目指しました。
今後もきめ細かな支援を通じて、働きやすい職場環境の構築を目指して参ります。

④【身体抑制率の低減化】

急性期病院では患者さんに対し、事故防止や安全管理上やむを得ず身体抑制(身体拘束)を実施する場合があります。
しかし身体抑制は基本的人権を侵害する行為であり、身体的・精神的にさまざまな弊害があると言われ、最小限にすることが望まれます。
また当院では日本病会が公表している全国平均と比較して身体抑制率が高く、低減化することが重要課題であり本指標を選定しました。

〈定義〉
分 子:身体抑制を実施した日数
分 母:入院患者延べ数
除 外:18歳未満の入院患者、間接的な身体抑制
目標値:10%以下



〈分析・評価〉
2023 年度の平均値は21.1 %であり、前年度の27.6%より低減しましたが、残念ながら目標値および全国平均値を下回ることはできませんでした。
身体抑制はせん妄を発症した高齢患者さんに多く実施されており、その原因の一つとなる不眠症への適切な薬剤治療の標準化を目指したフォーミュラリーを作成し、推奨活動を継続しました。
しかし薬物療法へのアプローチだけではこれ以上の低減化には限界があり、今後は看護の側面からケアへのアプローチを充実させ、さらなる低減化を目指していきます。

⑤【外来診療待ち時間の短縮化】

当院の一日平均外来患者数は約1,500名と多くの患者さんが受診されていますが、待ち時間が長いとのご指摘を頂くことが多くあります。
診療待ち時間は患者満足度に直結する重要な要素の一つではあるものの、これまで有効な改善策が講じられていないのが現状でした。
そこで病院全体として、部署横断的な改善を目指すため指標として選定しました。

〈定 義〉
実 数:平日の平均診療待ち時間
除 外:なし
目標値:25分以内



〈分析・評価〉
2023年度の平均値は23.6分でした。改善への取り組みとしては、新たに皮膚科にて予約制を導入し、待ち時間を大きく短縮することができました。
2021年度活動開始当初から継続してプロモーターによる各診療科へのヒアリングを実施しており、実際に診察を行う医師の意識改革に繋がったことも要因の一つと考えます。
また、患者満足度調査や厚生労働省が実施する受療行動調査、徳洲会超規模病院と当院のデータを毎月比較分析し短縮化に取り組み、目標達成に繋がったと考えられます。
本指標は2021年度より改善活動を開始し、3年目となった昨年度に目標値である25分を切ることができました。
病院全体指標としての役割は一旦終えますが、今後も患者さんが快適に外来を受診していただけるよう、改善に励んで参ります。

 

⑤【手術待期日数の低減化】

手術治療が必要と診断された患者さんには、可能な限り速やかに手術治療を提供する必要がありますが、病院側の都合により手術治療が遅れることによって、病状悪化や患者さんに不安を与えることがあってはいけません。
その要因となり得るのは、手術室やスタッフ不足などのハード面によるものと、曜日毎の手術枠運用などのソフト面によるものが考えられ、その両面から遅延が発生する要因を探り、適正な手術待期日数を目指すことを目的としました。

〈定 義〉
実 数:手術オーダー日から実施日までの平均日数
除 外:緊急手術
目標値:18.6日内(2022年度当院平均値)

〈分析・評価〉
まずは現状把握することから始まり、待期日数には診療科ごとにバラつきがあることが分かりました。
その上で待期日数が比較的長い診療科へプロモーターがヒアリングを実施しました。
その結果、患者さんの都合によるものや、計画的に数か月先の予定を組んでいる場合などの要因が明らかになりました。
さらに診療科や医師によって手術オーダーをするタイミングにバラつきがあったことから、オーダーする日を患者さんと手術することを決定した日に統一し、正確な待期日数を把握できるようにしました。
今後は手術枠の見直しなどを行い、効率的な手術室運用を検討していきます。

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2022年度 病院全体指標の取り組み

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