2012年
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2012.12.10<Vo.23>【アフェレシス学会に参加して】
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2012.10.22<Vo.22>【豊かな人生は好奇心と世にものを問う姿勢から】
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2012.09.29<Vo.21>【育児は育自-親になるということについて】
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2012.09.18<Vo.20>【忙しくも楽しき「ショーカマ」】
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2012.08.31<Vo.19>【夏恒例!釣り大会開催!】
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2012.08.02<Vo.18>【遅ればせながら、新しい先生の紹介】
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2012.04.19<Vo.17>【第109回日本内科学会参加レポート】
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2012.03.31<Vo.16>【卒業】
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2012.03.21<Vo.15>【はじめまして!守矢です。】
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2012.03.09<Vo.14>【本田謙次郎先生 第52回 日本脈管学会総会 最優秀賞受賞!! 】
<Vo.23>【アフェレシス学会に参加して】
血液浄化部 日高より・・・
今回は総合内科和足孝之先生が特別ゲストとして、腎内ブログに寄稿してくださいました。
腎免疫血管内科部長 大竹先生と、総合内科 和足先生と、日高の3人で、11月8日から10日まで長崎のハウステンボスで開かれた、日本アフェレシス学会に参加してきました。
アフェレシスというのは、血液を体外に取り出して、綺麗にしたり、病気の原因になっている物質(抗体や薬物など)を選択的に取り除く、血液浄化のことです。
和足先生は長崎県のご出身で、今年の春、大船のどこかの居酒屋さんでご一緒したときに、そういえばハウステンボスで学会が秋にあるから行こう!!と私が声をかけたらしいです。
でも、自分ではそういう記憶は年のせいかお酒のせいか、ないのですが(笑)。。。
学 会はハウステンボスの中で開かれたため、3日間ハウステンボスの風景を楽しみました。このブログの写真でおわかりのように、長崎の佐世保にいるのに、あた かもオランダにいる感じです。和足先生は日々の診療で忙しい中、学会の準備も余念なく行い、立派なプレゼンテーションをしてくれました。では、和足先生、 よろしくお願いします。
今回、長崎ハウステンボスにて11月8日から開かれた第33回アフェレシス学会に参加してきました。
事の発端は、懇親会?の席で日高先生より発表のお誘いを頂いた事が始まりでした。
当院では本年度より内科後期研修センターの設立もあった事から、各科の垣根(皆無)無く今回ご指導を頂ける千載一遇のチャンスでした。
発表内容は、重症中毒表皮壊死症に対するアフェレシス療法の考察についてですが、透析、皮膚科、集中治療分野の専門家の中で臆することなくディスカッションができ、また参考となる今後の研究課題や方向性もさらに見えた事で、刺激的でかつ、非常に有意義な参加となりました。
ふと、ハウステンボスの景色に同化して物思いにふけってみると。。。。。自分の病院に閉じこもっていると大局が見えにくくなるもので、当たり前の様に感じて いた毎日の診療ですが、常にUp to dateやMedical onlineなどのフリーアクセスから学びながらエビデンスに沿って治療を行っていこうとする姿勢や、腎臓内科のホームページにもあるように自らエビデン スを作って行こうとする「世に物を問う姿勢」など、一旦、外から当院を見直してみると、それが如何に奇跡的なパッションとエネルギーに満ちている場所なの だと改めて感じざるを得ません。少し誇りに思えた夕下がりでした。
総合内科
和足 孝之
<Vo.22>【豊かな人生は好奇心と世にものを問う姿勢から】
私がこの病院にお世話になったのは1999年である。それまでの多くの時間は動物実験に割いていたと言っても過言ではない。テキサス大学の病理では代償性腎肥大と糸球体硬化を、成長因子を絡めた実験をやっていた。実は糸球体障害より先に尿細管肥大と間質の障害が起こっていて、その元凶は「work load」であるということがわかった。ここに、カロリー制限を行うとIGF-Iを介してこれらが改善する。働き過ぎはよくないということである。その後、動物実験はぴたりとやめ臨床医学から何が浮かび上がってくるかを検討してきた。結果は正直である。毎日飽きるほど臨床をやっていると、既に「肌で感じる」とおりの事が多く、新しいことがそう多くある訳ではない。あくまでも科学的に検証しているにすぎない。ただ、「それってホント」というような発見もいくつもあった。
ある日透析患者のご家族から余りにもボケ症状が強くなってきたので診てほしいと頼まれ、MRIを撮ったらマンガン鉱山で働く人に見られるとされる特異な像があり「なぜマンガン?」と目が点になった。その透析患者が元気になろうとしてたくさんのサプリを飲んでいた。これだと思った。が、サプリにマンガンが入っているものは無い。メーカーに聞いても答はNOである。意地になって都内の食品化学分析センターに高いお金を払ってまでして調べてもらったら、なんとクロレラにマンガンが入っていたのである。キレート剤を毎回注射したらみるみる元気になって画像まできれいになった(AJKD 46:749,2005 Ohtake, et al.)。まるで手品のようだ。
われわれのチームのモットーは「世にものを問う姿勢」を持ちながら臨床をやるということである。臨床も研究も両者同等に大切である。そういえば、私は大阪の出身であり中学のバレー部で毎日苦しい練習を強いられていた時、「憎き」しかし「愛すべき」指導者がいつも言っていた。勉強とバレー「文武両道だ」と。今となってはこの先生が最初の恩師であったと言える。我々の腎臓チームは皆でよく遊びそれに鎌倉中のグルメもしている。私はクラシック音楽大好き人間でクラリネットも楽しんでいた。地元で私が理事長をしている「NPO法人癒しの医療を考える会」主催の音楽会では、毎回作曲家と病について話をしている。モーツアルトは溶連菌感染後CKD心不全をたどったと考えられる(拙著 モーツアルトやベートーヴェンその音楽と病 医薬ジャーナル社刊)。今ならもっと長生きできた事は言うまでもない。
透析患者の心血管障害は保存期の早い時期からから出現している。目に見えないだけである。目に見えないものを見るのが優秀な内科医の役割である。人には見えなくとも、自分が一番先に見ることができるのはなんといっても「快感」である。見えれば次は何かしたくなる。知ってしまえばやはりほっとけないのも人情だ。
副院長
小林 修三
<Vo.21>【育児は育自-親になるということについて】
「喘息発作です。上気道炎が誘引でしょう。」
つい最近我が子についた診断名。(両親とも病気知らずなのに、どうして?)というショックと(やっぱりそうだったか)とこれから注意すべき点を想定できるな、というぼんやりした安心感と、同時に(子供に申し訳ない)気持ちが入り乱れ、息切れしながら元気に吸入器をなめまわしている子供を尻目に、自分の歩んできた道を再び反省しました。
私には現在7歳・4歳・2歳になる子供がいます。そして、葉山ハートセンターと湘南厚木病院の透析室、湘南鎌倉総合病院では総合内科初診外来や腎臓内科外来の診療をさせて頂く一方、各種カンファレンス・学会発表を通し研鑚を積む日々を過ごしています。
「親になる事」は妊娠・出産という過程を経て得る果ての無い道程だと思いますが、医師、特に女医にとっては幅広く多角的な診療を行っていくスキルを磨く事がで きるチャンス、当たり前の事ですが医師自身や対峙する患者の周囲に巻き起こる「個人と家族の関係」を幾度となく再考するチャンスが得られる重要かついか も人間的な環境だと思います。前述の一件で、また一つ「子に慢性疾患が診断される事」に対する親の心理を私は学ぶ事ができました。
出産や妊娠、果てには結婚を機に職場を去る友人もいる一方、育児しながら仕事を続け勇気とパワーを与えてくれる小姑・友人の存在が私の支えになっています。私が母となった直後の7年前、子供を育てつつ業務を難なくこなすコメディカルの母親達、子供を立派に育て上げた看護師さんたちが、育児生活に負けそうになっていた私にとってなんとまぶしく見えた事か!育児しつつ仕事を続ける母の力強さとたくましさ、優しさ、その尊さ、立派さに畏敬の念を覚えました。これまで横柄で他人に対する思いやりに乏しかった自分の態度を反省しました。育児中の女性や育児を終えた中高年女性に対する考え方は、この時180°変化したのを今でもまざまざと覚えています。この経験後、私の妊娠・出産・育児について、実にさまざまな方面から多様な意見を聞くという貴重な体験をしました。
要は、育児と仕事の両立を規定するものは、第1に母親自身やその夫・両親など子に直接関わる各人個々の価値観、第2に子とその親を支える周囲のサポート体制、第3に子の成長に従って生活スタイルや時間割りを変えられるような、母親のタフで柔軟性のある精神力と体力、敏感で余裕ある心だと思います。付け加えるなら第4には母親自身の十分な健康管理、体力温存術の有り様でしょう。
3.11以降、「絆」を軸に家族や周囲との関わりを見直し時間を大切にするという価値観が新たに芽生えました。情報が飛び交い社会の流れが速くなった世の動きに加え子供自身の発達や社会性・気づきによって母親・家族の価値観はどんどん変化していきます。育児に王道はないのと同様、妊娠・出産し育児をする事になった女医の勤務体制・形態にも多様性が今後必要になるだろうと思います。
私は何をするのも遅く、仕事も人一倍時間がかかってしまいますが、それなのにものすごく欲張りで頑固・意地っ張りな性格なので妊娠を知った時、育児も仕事も 頑張りたい、と望んでいました。しかし、夫婦ともに出身が遠隔地で周囲に頼れる親戚がいないため、産後の「サポート体制不備」を不安に思う初妊婦生活を送っていました。第1子出産後、当病院に「24時間子供を安心して預けられる保育園」を理念とした立派な保育園があるという情報を得、生後4ヶ月目の子を恐る恐る預けていく事にしました。あれから7年、私達夫婦の仕事と大事な子供達を、この保育園は本当によく支えてくれ、育んでくれています。そして、私の個人的な状況を加味し、外来のみの勤務の中で業務を支え指導して下さる腎臓内科のすばらしい上司や同僚たち、各病院の透析室スタッフの皆様に幾度も感謝する毎日です。
育児は育自、「親になる」という事は「一生続く学び」で、人生が豊かになる素敵な体験だと思います。子供の笑顔からまたパワーを得、忙しい平日を何とか終わらせた週末は子供孝行をする、そんな一週間がこれからもまた、続いていきます。
追加発言ですが。。。。(日高より)
真栄里先生は医師として働きながら、良き妻であり、また3人のお子さんの良きお母さんです。どこにそれだけのパワーが潜んでいるのか、驚くばかりです。
腎臓内科ニュースには載せていましたが、2012年5月に横浜で開かれた第83回神奈川腎研究会において、真栄里先生は最優秀演題賞を授与されました。
真栄里先生は、これからも、仕事も家庭も大切にして一歩一歩進まれていくことと思います。
札幌の学会の打ち上げにて
腎免疫血管内科医師
真栄里 恭子
<Vo.20>【忙しくも楽しき「ショーカマ」】
はじめまして。
腎免疫血管内科4年目医師の中島みなみと申します。
今年度(2012年4月)から湘南鎌倉総合病院でお世話になっております。
日記・ブログ等の類のものが苦手なので、まさかこのブログに文章を記載することになるとは思っていなかったので戸惑いを隠せませんが、日々感じていることを書き綴ってみようと思います。
まずは少しだけ自己紹介を。
東京都生まれ、その後親の仕事の関係で埼玉・千葉・東京・茨城を転々と移り住みましたが、幼稚園以降、小学校・中学校・高校・大学・初期研修・後記研修はずっと東京で暮らしていました。大学受験・研修病院選択etc人生の分岐点(?)にあたる時期に毎度毎度東京から離れることを考えるも・・・特に大きな理由がある感じはしませんが東京にいました。つまり、湘南鎌倉で働くということは私にとって初めての東京から離れての生活でありかなり不安が強いものでした。しかも、「来年ショーカマ(湘南鎌倉のことをこう呼ぶ人が多いです)で働く」と人に話すと決まって「大変だよ、忙しいよ、眠れないよ、大丈夫?」とういうのがお決まりの反応で、4月のオリエンテーションが始まるまでは、まるで気持ちは登校拒否児童のようになっていました。
しかし4月、実際に働き始めてみると、、、
忙しさは予定通り?耳にしていた通りで、まだ自宅近辺の地理すらあまり詳しいとはいえないですが、小林先生をはじめとする志の高い上級医の先生方、看護婦 さん、MEさんetcの助けをかりて、たくさんの刺激を受けながら、腎炎、高血圧、電解質異常、透析、急性・慢性腎不全のほかにCLI(重症虚血肢)含め全身性動脈硬化性疾患や膠原病など広い分野の診療に携わっています。週にたくさんあるカンファレンスの中で目からウロコの指摘をうけることがたくさんあり、そのたびに頑張らなきゃ、と思う日々です。当直などで体力的に厳しいと感じることもしばしばありますが、日々充実感も感じながら楽しく診療にあたっています。まだまだ未熟者ではありますが、少しでも皆様のお役にたてたら、と考えておりますのでどうぞよろしくお願いいたします。
そんな仕事面での活発さもありますが、レジャーにも全力投球な一面もあります。このブログにも少し載っていますが、全員でお花見に行ったり、釣りをしたり (前回のブログにもありますが、私は船酔いで釣りどころではありませんでしたが・・・)、日高部長主催でテニスをしたり・・・仕事にも遊び(?)にも全力 投球でactiveな当科で働けることを幸せに思いつつ、これからも前進していきたいと思います。
ちなみに下にのせてある写真は奄美大島の写真です。この文章を書いているいまは一か月の地域医療で瀬戸内病院(瀬戸内海にあるのではなく、鹿児島の南方、 奄美大島にあります!)にいます。1枚目の写真は郷土料理の鶏飯、2枚目の写真はとある展望台からの写真、3枚目は病院からほど近くにある海の写真です。ショーカマとはまた違う、離島診療、訪問診療に携わって日々刺激を受けています。今まで体験したことない、(超!)強力な台風16号の体験も含めて離島研 修を満喫して鎌倉に帰ります!
今後ともよろしくお願いいたします。
①郷土料理「鶏飯」
②展望台からの奄美大島
③綺麗な海が広がる
腎免疫血管内科医師
中島 みなみ
<Vo.19>【夏恒例!釣り大会開催!】
暑い日が続いており、蝉もまだまだ頑張っているようですが、夜になると少しずつ秋の虫の声が聞こえるようになってきました。今日は8月最後で、夏ももうすぐ終わりかなと思うと淋しくなります。
腎臓内科では夏といえば“釣り”が恒例の行事として定着してきました。われらがボスの小林先生に連れられて、今年も8月のある日、みなで船に乗り東京湾に行きました。今まではアジとサバを釣っていましたが、4年目の今年は初めてキスに挑戦となりました。
釣りの師匠、大竹先生からまず講義。エサの付け方から。タッパーウエアの中でにょろにょろとうごめいている細いミミズのようなもの(イソメというらしい)を取り出し、ハサミで頭をちょっきんと切る。1本のつり糸に2個針がついており、それに頭を切っても動いているイソメの体を通し刺しにする。きゃあ~、こわ~い、と思ったのは最初だけ。平気でどんどんイソメをチョキチョキできる自分に後で驚く。次に釣り方。キスは海底にいるらしい。だから、なるべくしかけを遠くに投げて、海底に着いたら、そこでとんとんと竿を動かしたりしながら待てばいいらしい。キスがきっとイソメに食らいついてくれるはず。
船上で大竹先生のご指導を仰いでいるうちに、船頭さんが船のエンジンを止め、ヨーイドン。皆いっせいに真剣に釣竿を海に向ける。ギラギラの太陽が顔を出しており、最初は日に焼けるともう若くないからいやだなあ~などと考えておりましたが、いざ釣りが始まったらそんなことは頭から消失。釣り糸を垂らしながら、ひたすら海底の様子をイメージし、どういう風に竿を動かしたらキスが気にいってくれるか考えました。そうこうするうちに、長谷川先生が何かを釣りあげました。キスじゃないみたいだけど、何かのお魚だ!えら~い!それから、だんだん歓声が上がり始めました。キスはちょんちょんとついばむようにエサを食べるんだなあ、ということが感触としてわかってきました。そうなると、もうとても面白くて、人のことなど我関せずで、ひたすら釣っていました。ところが、ふと気がつくと、中島先生が船酔いしたみたいで、大丈夫~?と声をかけているうちに、長谷川先生までダウン。船が苦手といえば、過去のブログにありますが、なんといっても持田先生だったなあ。彼は今年の釣りには参加しておらず、病院で働いていてくれており、後からの宴会に合流する手はずとなっていました。
夕方からは船着き場でみんなでバーベキュー。バーベキューからは持田先生はじめ、真栄里先生と2番目のボク、秘書のゆうさんと二人のお子さん、そして宮本先生の奥様とまだ4ヶ月のかわいい赤ちゃんも参加してくれました。たくさんのキスをお刺身にしたり、塩焼きにしたり、フライにしたり。。。。美味しかったなあ~。こうして、楽しい夏の1日が終わりました。来年がまた楽しみだなあ~。来年は何を釣ろうかなあ~?
血液浄化部
日高 寿美
<Vo.18>【遅ればせながら、新しい先生の紹介】
しばらく腎免疫血管内科のブログが更新されておらず、大変失礼いたしました。
今回は、遅ればせながら平成24年4月より新しく加わったメンバーを紹介します。
まずは宮本雅仁先生です。
彼は聖マリアンナ医科大学を卒業し、同大学院の博士課程で学位を取得した後、病棟医長として現場でバリバリに働いていた脂ののりきった?先生で、この4月より血液浄化センターの医長として赴任されました。
それから後期研修医として中島みなみ先生と長谷川正宇先生が仲間に加わってくれました。
中島みなみ先生は今年4年目の先生で、東京慈恵会医科大学を卒業したあと、東京大学付属病院および東京厚生年金病院で研修を受けて来られました。また長谷 川正宇先生は大阪大学医学部を卒業後、関西労災病院で初期研修を終え、この春より3年目として当院で後期研修医を開始することになりました。
そして彼らが入職して間もない4月10日。
戸塚にある柏尾川沿いの桜並木にて毎年恒例の「腎内花見」を行いました。
今年は天候に恵まれ、また桜も満開で絶好の花見日和となりましたが、それにもまして絶好調なのは長谷川先生(写真中央、bwinの服を着ています)で、 「ぼくお酒はダメなんです」と言いながら、でもビールを勧められると楽しそうに飲んでいて、写真のとおり薄紅色の桜よりもきれいに顔が染めあがっていまし た(宮本先生は前列右から2番目、中島先生は前列左から2番目)。
これからも皆で切磋琢磨しながら、でも時には楽しくやってゆきたいと思います。
腎免疫血管内科 部長
守矢 英和
<Vo.17>【第109回日本内科学会参加レポート】
今回は石岡が担当致します。
4月13-15日の3日間、桜満開の京都において第109回日本内科学会講演会が開催されました。
内科系では最大規模の学会で、毎年約3万人が参加しております。
当科からも、前回ブログで執筆された古谷先生が、「脳血流SPECTによる腹膜透析患者のアルツハイマー予備群の評価」と題して発表されました。特に腹膜 透析患者さんにおける認知機能評価や脳の血流については、明らかになっていない部分が多く、今回の発表はこの分野の礎となるような重要な研究発表であり、今後の更なる発展にも期待が寄せられます。当日は多くの方々が聴講され、複数の質問に対しても、余裕のある回答をされておりました。
4月14日には、サテライトシンポジウムとして、「研修医、医学生の内科学会2012京都」が同時に開催されました。若い先生の為の研究発表の場であ り、当院総合内科より研修医2年目の大谷岳人先生が「当院における劇症型肺炎球菌敗血症の検討」と題して発表されました。発表に際しては、総合内科部長の 北川泉先生は勿論、当科の小林修三先生、守矢英和先生にも御指導頂き、結果は見事優秀賞を獲得されました。
本学会の会頭の京都大学中尾一和先生は、会頭御講演の中で、基礎研究と臨床(ベットサイド)との間をつなぐ、臨床医学研究(Translational Research)の重要性を説いておりました。すなわち、臨床的なneedsをいかに的確に捉えて、基礎研究から生み出されたseedsとつなぐ双方向のscienceを強調しておられました。
我々も日々の多忙な診療の合間を縫って、同じような立場で苦しんでいる多くの方々の為に、日々臨床業務を終えた後、臨床研究に勤しんでおります。
その様な中での、今回当科(及び当科が関係した)の2人の若い先生の御発表は、本当に素晴らしいものでありました。加えて、日頃小林先生が口にされる「世に物を問う」ことの重要性を、改めて実感した学会でありました。
腎免疫血管内科 医長
石岡 邦啓
<Vo.16>【卒業】
はじめまして。
腎免疫血管内科4年目医師の古谷玲と申します。
2年間湘南鎌倉総合病院に勤務いたしましたが、この春に病院を移ることとなりましたので、卒業記念に2年間を振り返り、徒然なるままに書き綴っていきます。
湘南鎌倉総合病院は、一部では「泣く子も黙る湘鎌」と言われているように(?)、非常にactiveで救急搬送を積極的に受け入れ、活気があり非常に忙しい病院です。
スタッフ皆の心には“湘鎌魂”(私の解釈では、断らない、前向き、粘り強い、寝なくても頑張る、お風呂に入れなくても頑張る、を総合した感じです)が宿 り、一人でも多くの患者さんを治そうとスタッフ一丸となって頑張っています。そんな中で学んだ事は、自分で限界と思っていたことは実は限界ではない、とい う事です。
もう無理だと思っていても、やるしかない状況におかれたらやるしかないわけであって、人間なんとか頑張れるようです。そういう意味では、1日1回なんとかお風呂に入る、という命題も達成できそうな感じもしますが、研修医の皆さん。
一方で非常にアカデミックな一面もあります。腎免疫血管内科では積極的に学会発表や研究会参加、論文執筆を行っており、本年度も部長の大竹先生や岩上先生、Ns.の秋吉さん、秘書の増田さんが学会・研究会発表で賞を受賞しています。忙しい日常業務の中でどのように準備の時間をやりくりしているのか、私も秘訣 を聞きたいぐらいなのですが、このような環境で刺激を受けつつ切磋琢磨しこの2年間診療にあたりました。
本当に貴重な経験でした。
卒業という言葉を聞くと4年前、医者として働きだす事に対する期待と不安に包まれて、仙台の大学を卒業した時のことを思い出します。
仙 台はとても美しい町でした。大学に合格し初めて仙台の地を訪れた時、タクシーの運転手に「仙台は住みやすい街だから、転勤してきてそのまま永住しちゃう人 も多いんだよ。お姉ちゃんもきっと気に入るよ。」と言われました。訛が強く、言っている事の半分くらいしか聞き取れなかったのですが(おそらく仙台出身で はなく青森あたりの人でしょう)、仙台の魅力を嬉しそうに語るおじさんの横顔が印象的でした。仙台で出会った人たちは皆、我慢強く、穏やかで、シャイなの ですが熱い心を持っていたような気がします。1年前の震災で仙台も被災し、4年前とは大きく変わってしまいました。遠くから見守る、または募金することくらいしかできませんが、仙台が本来の活気、美しさを取り戻すまで応援し続けたいと思います。
最後になりましたが、2年間お世話になり本当にありがとうございました。これからも患者中心の医療を行う魅力的な病院であり続けてください。
腎免疫血管内科
古谷 玲
<Vo.15>【はじめまして!守矢です。】
はじめまして。
腎免疫血管内科部長の守矢英和です。
このブログも始まってから1年半近く経ちましたが、ようやく登場させていただきました。
この病院でもう12年以上も勤務していますが、気持ちだけは20歳代新人のつもりで頑張っていますので
よろしくお願いします。
さて、2012年も始まってもう2か月以上が過ぎ、あっという間に新年度を迎える時期になりました。
この間にも私たち腎免疫血管内科には色々と楽しい、そして嬉しい出来事がありましたのでご紹介します。
まず最初は、2月4日(土)・5日(日)の二日間、越後湯沢に温泉・スキー1泊旅行に行って参りました。
私たち医師7名を始め透析室看護師2名、医療秘書1名、検査技師4名、栄養士1名(+子供2名)が集まり、行きの新幹線の中から早々とビールを飲み、日頃のストレスを発散。
夜の宴会では恒例?の岩上先生(写真右から3番目、この写真では仮装!)の女装で盛り上がり、部屋での2次会ではトランプに興じ、温泉では日頃の激務に耐えた体を癒しておりました。
スキーの方は、「十年ぶり以上?だよ」と話していた小林副院長(写真左から3番目)も、長年のブランクを感じさせない見事な滑りっぷりでありました。
幹事をしていた私としては、誰もケガすることなく無事に帰ってくることができ、また皆の親睦が深まり、ほっとひと安心の旅行でした。
そして次の話題は、2月19日(日)に行われた第9回日本医療秘書学会(会長:日野原重明先生、聖路加国際病院理事長)において、血液透析センターで医療秘書を務める増田ゆうさんが、栄えある「日野原賞」を受賞しました。
テーマは「透析医療における臨床研究支援のための医療秘書の役割」。
通常の医療秘書の業務内容を超え、臨床治験や医師主導の自主研究において、対象患者スクリーニングやデータの管理、検査結果報告などの業務を、医師と患者の架け橋として関わってきたことの発表でした。
医療秘書が単なる事務作業の補助的な役割をするだけではなく、学術研究も含めた多方面への医療を展開するためには、今後欠かせない存在になることは間違いなく、当院の同僚ばかりでなく、医療秘書を志す多くの人々にとっても勇気づけられる出来事だったと思います。
そして最後の話題。
3月3日(土)に横浜にて第26回神奈川CAPD研究会が開催されましたが、当院13階病棟勤務の秋吉美穂看護師(写真右から2番目)が見事に「優秀賞」を獲得しました。
テーマは、私たちが腹膜透析(PD)外来で行っている多職種介入腹膜透析外来(SK-MDTA)についてです。医師が主体だった外来を、看護師が主体の外 来に切り替え、さらに栄養士や理学療法士(リハビリ)も参加し、一人の腹膜透析患者に対し多くの職種の医療スタッフが関わってサポートすることの重要性を 述べた内容でした。
秋吉さんは院外での研究会発表が初めてでしたが、とても初めてとは思えない位に堂々と、そして流暢に発表しており、聞いている私たち身内も感心するほどの発表でした。
4月からは新しいスタッフがさらに加わりますが、医学・医療技術を高めながら、
時には親睦を兼ねて趣味に興じ、「文武両道」を目指して心機一転頑張っていきたいと思います。
腎免疫血管内科 部長
守矢 英和
<Vo.14>【本田謙次郎先生 第52回 日本脈管学会総会 最優秀賞受賞!! 】
久しぶりのブログ更新です。
腎免疫血管内科で最近たくさんの嬉しいニュースがあります。
今日はその第一弾として、2007年4月から2009年3月まで当院腎免疫血管内科の後期レジデントとして活躍してくださった本田謙次郎先生(現在、東京大学腎臓・内分泌内科で勤務中)のニュースをお知らせいたします。
2011年10月に岐阜で第52回日本脈管学会総会が開かれました。
日本脈管学会というのは、1960年に創設された由緒ある学会です。
それまで脈管系(動脈や静脈やリンパ管など)の研究が外科・内科・整形外科・皮膚科など個々に別れてなされており、各研究者間の横の連絡はほとんどない状況でした。
しかし、それでは独善に陥る危険があると考えられ、臨床医学・基礎医学の両方面の脈管学研究者が集まってこの学会がつくられたそうです。
第52回総会は金華山に見守られている岐阜市の長良川沿いにある長良川国際会議場で行われました。
たくさんの発表演題の中から、優秀演題として基礎医学で6演題、臨床医学で4演題が選ばれました。
そして10月20日に各演者がそれぞれ発表し会場で質疑応答を受けます。
その中で最も素晴らしいと思われる発表者が基礎と臨床で一人ずつ選ばれます。
その最優秀演題(臨床医学)に本田謙次郎先生が選出されました!
タイトルは“マゴットセラピーはExcretion/Secretionに含まれるproteaseを介してHepatocyte Growth Factorを産生させる”というものです。
なんとも難しい言葉がつながっており、おわかりになりにくいかもしれません。
湘南鎌倉総合病院のホームページから、受診される方へ⇒診療科のご案内⇒フット外来のページに入っていただきますと、下肢の動脈が細くなってしまい、休まないと長く歩けない(間歇跛行)、足に傷ができてしまってなかなか治らないというような末梢動脈疾患(下肢閉塞性動脈硬化症)の患者さんの治療がのっています。
その中でマゴット(医療用無菌ウジ)治療という項目があります。
一言で言うと、マゴットが足の傷の壊死しているところをきれいに食べてくれて、傷が治っていくのに必要な良質な肉芽を作ってくれる治療です。ただ、このマゴット治療の効果が実際にはどのような働きでなされているのか、ということは詳しくはわかっていない状況でした。
本田謙次郎先生は当時、夜遅くまで病院内を走り回って、マゴット治療を受けた患者さんを診察してはマゴットの分泌物を採取させていただき、それをもとに東大に戻ってからも沢山の基礎系の実験を行い、今回マゴットがどのように傷を治すことに働いているのかを発見し、発表しました。
この研究はすでに論文として2011年12月号の『American Journal of Physiology, Cell Physiology』という有名な雑誌に掲載されています。
私たち医師はいつも一人一人の患者さんからいろいろなことを教えられます。
本田先生は私たちの病院で働いて勉強したことを、さらに大学病院に戻って深めて新しい重要な発見をされました。当院の小林修三副院長や東京大学の野入英世 准教授の御指導のもとにこの立派なお仕事がなされたと思いますが、本田先生御自身が優秀でかつ非常に努力されたことで、この栄誉ある賞を授与されたのだと 思います。
本田先生、本当におめでとうございました。
私たち仲間も心からとても嬉しく思っています。
これからも皆切磋琢磨していきましょう。
血液浄化部 部長
日高 寿美