血漿吸着療法とは?
血漿吸着療法とは?
血漿吸着療法は、血液からまず血漿分離膜で血球と血漿に分離し、分離された血漿を二次カラムに通して特別な物質だけを吸着して除去する治療法です。
これにはよく行われるものとして、LDL吸着療法、免疫吸着療法などがあります。
LDL吸着療法(LDLアフェレシス)
LDLコレステロールの中に含まれるアポ蛋白Bは陽性荷電を呈しており、陰性荷電をもつデキストラン硫酸と静電気的に結合させ、LDLを吸着・除去する治療法です。
LDL吸着療法は当初は遺伝的にLDLを処理するLDLレセプターが欠損あるいは減少している家族性高コレステロール血症の患者さんに施行しておりました。
しかし、巣状糸球体硬化症というタイプのネフローゼ症候群でも有効性が確認され保険適応疾患となっています。また近年増加している下肢の閉塞性動脈硬化症の患者さんにも積極的に行われるようになってきました。治療前には下肢が冷たくしびれが強かった患者さんが、数回LDLアフェレシス治療を受けると冷感やしびれが改善することがよくみられます。LDLアフェレシスはLDLコレステロールを除去するだけでなく、フィブリノーゲンも低下させ微小循環が改善されること、赤血球変形能の改善による血液レオロジーの改善などいろいろな血流改善のメカニズムがあります。
LDLアフェレシスに関しては腎免疫血管内科の項にも記載があります。
免疫吸着療法
分離した血漿を疎水性アミノ酸であるフェニルアラニンを固定化したゲルからなるイムソーバPH-350というカラムに通すことにより、免疫複合体や抗DNA抗体、リウマチ因子などを吸着除去できます。このカラムを利用した免疫吸着療法は、全身性エリトマトーデスや悪性関節リウマチなどの膠原病、ギラン・バレー症候群や多発性硬化症などの神経疾患に保険適応があります。また、フェニルアラニンというアミノ酸ではなく、トリプトファンというアミノ酸を固定化したゲルからなるイムソーバTR-350というカラムでは、重症筋無力症の病因である抗アセチルコリンレセプター抗体を吸着除去することができます。