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胸壁外科ブログ

<Vol.05>学会発表とエビデンス

胸壁外科
2017.08.31

学会ではまれな病気の患者さんを診察、治療したという1例報告から、治療方法に工夫をしたり新しい治療や手術法を開発した報告、過去の治療結果をまとめた報告、複数の病院での結果を合わせて検討した報告、動物実験のような将来の治療つながる基礎研究など様々な分野の演題が発表されます。

学会に発表するには通常は審査があり、抄録(発表のあらすじ)を応募して一定の基準を満たした演題が発表されます。応募したほぼすべての演題が採用される学会もありますが、厳しく審査され、採択率を公表している学会もあります。私たちの分野の国内の学会では、胸部外科学会、外科学会の総会などは厳しく審査されます。発表の多くはパワーポイントを使用しますが、ビデオ、ポスターなどを使用することもあります。興味深いテーマについて議論する、パネルディスカッションやワークショップなどは上級演題と言われ、他の医師に対する教育や啓蒙の意味が強くなります。

ある方法の効果を証明するには、都合の良いデータや患者さんを選ぶのではなく、同じ方法を試みたすべてのデータに対して、統計学的、医学的な検証をしなければなりません。(個人の感想です)と小さな字で書いてある健康食品の広告などとは異なります。自分の主張に都合がよいデータや論文、記事だけを引用する某国元首のようなことは避けなければなりません。

新しい治療法を試みる場合には、院内の倫理委員会で審査をして、患者さんに十分にご説明をしてご納得いただくなどの、倫理的な指針に基づいていることが必要です。動物実験にも倫理的な基準があります。また発表に際して企業との関係の有無を明らかにする必要があります。

このようにして得られた結果に基づいて論文が書かれ、医学雑誌に投稿され、審査を経て掲載されます。権威のある英文医学雑誌に掲載されるのは、投稿された論文の半数に満たないすぐれた論文です。医学雑誌の信頼度、重要度は、他の論文に引用された回数を表すインパクトファクターという国際的な指標で評価されることがあります。

「ずっとこの方法でうまくいっているのだからこれで良い」というような医師の経験に基づいた医療が行われていた時代もありましたが、現在では信頼できる雑誌に掲載された論文(エビデンス)や、それらをもとに各学会が作成したガイドラインに沿って医療が行われます。これはEBM (evidence based medicine)、根拠に基づく医療と呼ばれます。

ちなみに私たちが行っている漏斗胸に対する胸肋挙上術(Sterno-Costal Elevation)に関する論文は、胸部外科の分野ではインパクトファクターが高いAnnals of Thoracic Surgery(米国胸部外科学会の機関誌)、European Journal of Cardio-Thoracic Surgery(欧州心臓胸部外科学会の機関誌) などに掲載されています。

各月の月初には新しいコラムを掲載いたします。また、必要に応じて月の途中でも更新いたします。

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